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家族葬の香典マナーとは? 相場や注意点、辞退された時の対処法も

作成日:2023.04.17
最終更新日:
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秋葉 祐子のイメージ
監修者
秋葉 祐子
/(株)くらしの友 儀典本部

2004年くらしの友入社、厚⽣労働省認定の技能審査制度「葬祭ディレクター」1級取得。
故人様とご遺族に寄り添い、大規模な社葬から家族葬まで、これまで1,000件以上の葬儀に携わる。

家族葬と一般葬では、香典のマナーも違ってきます。

ここでは、「家族葬に参列する場合」を想定して、

 

  • ・家族葬ではそもそも香典を渡すべきか?
  • ・香典を渡すのであれば、その金額の相場とは?
  • ・香典袋の書き方と渡し方
  • ・香典を辞退されたときの対応方法

 

について解説していきます。

※「香典」は厳密に言えば仏教用語ですが、どの宗教でも広く使われることが多い言葉であるため、ここでは「香典」の表記に統一します。

この記事で分かること

  • 家族葬で香典を渡した方が良い場合について
  • 家族葬で香典を渡す際の書き方とマナーについて
  • 不祝儀袋の選び方
  • どのような時に弔電をいれるのか

目次

  1. 1 家族葬では香典を渡すべき?
  2. 2 【香典を渡す場合】 香典の書き方・渡し方のマナー
  3. 3 【香典辞退の場合】家族葬で香典を辞退されたときの対応方法
  4. 4 まとめ

1 家族葬では香典を渡すべき?

まず、ここでは「家族葬のときに香典を持っていくべきかどうか」「香典を持っていくとしたら、その相場はどれくらいか」について解説していきます。

1-1 家族葬では香典は持参した方が良いか?

限られた範囲の人(親戚や、故人・ご家族が特に親しく付き合っていた友人など)だけを招いて行う家族葬は、一般弔問客を受け入れる従来型の葬儀(一般葬)とは異なります。

一般葬では特段の事情がない限り香典を受け入れますが、家族葬の場合は「香典辞退」の意向を示されるケースも多いです。

この「香典辞退」には、

 

・お返しの手間をかけたくない

・参列者に負担をかけたくない

 

などの思いが込められています。そのため、ご遺族が香典辞退の意向を示していた場合は、持参しないようにします。

 

ただ、「香典辞退とも言われていないし、逆に香典を受け入れるとも言われていない」というケースもあるでしょう。

その場合は、持っていった方が無難です。香典を渡そうとしたときに、ご遺族から「香典は辞退したい」という意向を示されたのなら渡さず、受け取る姿勢を示されたのなら渡せばよいからです。

1-2 家族葬の香典の金額

葬儀の香典の基本として、「関係性が近ければ近いほど、血縁関係が近ければ近いほど、包む金額は大きくなるという慣習があります。

そのため、故人の親戚あるいは極めて近しい友人の立場でしか参列しない家族葬の場合は、包む金額が一般的な葬儀に比べて高くなります。

また、参列者の年齢が上がれば上がるほど、持っていく金額の相場は高くなります。

 

家族葬の香典の目安

20代
30代
40代
50代
両親
30,000円~
100,000円
50,000円~
100,000円
50,000円~
100,000円
50,000円~
100,000円
兄弟姉妹
30,000円~
50,000円
30,000円~
50,000円
30,000円~
50,000円
50,000円~
100,000円
祖父母
10,000円~
30,000円
10,000円~
30,000円
20,000円~
30,000円
30,000円~
50,000円
叔父叔母
10,000円~
20.0000円
10,000円~
30,000円
10,000円~
30,000円
20,000円~
30,000円

 

ただ、上記で挙げた金額はあくまで「目安」です。故人との付き合いの深さや会食の有無によって、包む金額は変わります。そのため、同じ立場の人がいるのであれば、その人たちと相談して決めてもよいでしょう。

たとえば、「孫の立場の人間は、全員20,000円の香典で統一する」などのようにします。

なお、葬儀の場においては、血のつながった親戚であっても、配偶者側の親戚であっても包む金額は変わりません。

たとえば30代で義理の両親が亡くなった場合は、実の親が亡くなったときと同じく、50,000円~100,000円を包むことになります。

ちなみに香典は相互扶助の精神に基づいて出されるものですから、喪主はこれを出しません。ただし、故人と同居していた長男が喪主を務めて、遠方に住んでいた次男が葬儀に参列する場合は、次男は香典を包んでいくことになります。

 

2 【香典を渡す場合】 香典の書き方・渡し方のマナー

ここからは、香典を渡すときのマナーについて解説します。

2-1 家族葬での香典袋の選び方

まず初めに伝えたいのは、「家族葬であるから」という理由で、香典袋(不祝儀袋)のルールが変わることはありません。

ただし、地方差はあります。その代表例が「水引」です。水引は一般的には黒白あるいは双銀のものが選ばれますが、関西地方(特に京都)では黄色と白の結び切りの水引が選ばれることもあります。また、選ぶべき香典袋は宗教によっても異なります。

※香典袋は厳密には仏教用語のため、ここでは宗教を問わない「不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)」と表記します。

 

仏教……黒白あるいは双銀、もしくは黄色と白の水引がついた不祝儀袋を選ぶ。ハスの花が印刷されているものを選んでもよい。

 

神式……黒白あるいは双銀、もしくは黄色と白の水引がついた不祝儀袋を選ぶ。ハスの花や十字架、ユリの花が印刷されたものを選んではいけない。

 

キリスト教……無地の白い封筒を選ぶが、水引(黒白・双銀・黄白)がついたものを選んでも構わない。ユリの花や十字架が入ったものも選べるが、ハスの花が入ったものを選んではいけない。

 

ハスの花は、ゴーダマ・シッダールタ(お釈迦さま)と深い関係がある花です。そのため、仏教の葬儀ではこれを印刷した不祝儀袋を選べます。

逆に十字架などはキリスト教にとって非常に重要な意味を持つものであるため、これが印刷された不祝儀袋はキリスト教の葬儀でのみ使用できます。

なお、上記からも分かる通り、黒白・双銀・黄白の水引がついた無地の不祝儀袋なら、どの宗教でも使えます。

 

2-2 香典袋の表書きについて

香典袋には、

 

・表書き(香典袋の表面、見えるところ)

・差出人の名前(香典袋の表面、見えるところ)

 

の2つを記します。表書きは水引で区切った上の部分に、名前は水引で区切った下の部分に記します。なおこのときは、薄墨で書くのがマナーです。これは「悲しみの涙で墨がにじんでしまいました」「悲しみのあまり、墨をする力もありません」という思いに由来すると言われています。また、不祝儀袋の内袋には、自分のフルネームと住所、入れた金額を書いておくとよいでしょう。

さて、このなかで特に注意が必要なのは「表書き」です。

不祝儀袋の柄が宗教によって異なるのと同じように、表書きもまた、宗教によって異なります。

 

仏教……「御香典」「御仏前」などのように記します。

 

神道……「御玉串料」「御榊料」などのように記します。

 

キリスト教……カトリックでは「御ミサ料」、プロテスタントでは「忌慰料」とします。「御花料」はカトリック・プロテスタントいずれの場合でも使える書き方です。

 

※どの宗教・どの宗派でも使える言い回しとして、「御霊前」があります。厳密に言えば仏教の一部の宗派(浄土真宗や真宗各派)ではこの表現は使いませんが、参列者として参加する場合にこの特例が問われることはありません。

なおこのときの「宗教」は、「故人側・喪家側の宗教」に準じます。参列者の信仰する宗教は、この場合は関係ありません。たとえば故人側が神道の葬儀を挙げることになっていて、参列者の信仰する宗教がキリスト教だった場合は、「御玉串料」などのように記します。

2-3 香典の渡し方

香典は、受付があれば受付で渡します。しかし家族葬の場合は受付がないこともあります。その場合は、親族控室で渡すことになるでしょう。

なお渡すタイミングはさまざまで、式が始まる前に挨拶に伺った際や、葬儀終了後に渡しします。

2-4 「招かれたが参列できなかった」という場合の対策

これまでに述べたやり方が、「香典の渡し方の基本」です。ただ、「香典辞退の意向が示されていない家族葬に招かれたが、参列できない」ということもあるでしょう。

この場合は、以下の2つの方法のいずれかを選ぶのが基本です。

 

・代理人を立てる……同じように葬儀に招かれている近親者に頼む方法です。

・郵送する……現在は郵送で香典を送ることも許容されています。この場合は現金書留で送りましょう。

 

なお、家族葬は「ごく限られた範囲の、どうしても来て欲しい人」にだけ声を掛けて行われる葬儀の形態です。冠婚葬祭のなかでも「葬」はもっとも重んじられるものでもありますから、声が掛かったのならば予定を空けて伺うのが基本です。

そのためこの「行けなかった場合の2つの方法」は、健康上の理由や、海外出張中でどうしても葬儀に間に合わないとき以外は選ばない方がよいでしょう。

3 【香典辞退の場合】家族葬で香典を辞退されたときの対応方法

すでに述べた通り、家族葬の場合は「香典辞退」の意向を示されるケースが多いといえます。

このような場合にどうすればよいのかを考えていきましょう。

※繰り返しになりますが、「香典辞退」の意向を示されている場合は、ご家族の意思を尊重し、香典をお渡ししてはいけません。

3-1 供花や供物を出す

香典辞退の意向を示された場合は、「供花や供物を出す」という方法で対応することもできないわけではありません。

供花や供物は祭壇周りに飾られるもので、これらを出すことで、香典の代わりとすることもできます。葬儀が終わった後の供花・供物は、ご家族やご親族で分けられることが多いです。

 

ただ、「香典辞退」の意向を示されているご遺族の場合は、供花や供物も辞退する傾向が強いといえます。

なぜなら供花や供物も、香典同様「お返し」を必要とするものだからです。香典辞退の理由のひとつとして「お返しをする手間を省きたい」というものがありますから、そのような状況でお返しを必要とする供花・供物を送られると、結局お返しに時間を割かなければならなくなるからです。

 

また、香典は場所を取りませんが、供花・供物は場所をとります。家族葬の場合は一般葬に比べて使用する会場が狭いこともあり、供花・供物を置く場所に苦慮することもあります。

このような事情から、「香典を辞退されたのなら、供花・供物を贈ればよい」と安易に考えない方がよいでしょう。

 

どうしても供花・供物を贈りたい場合は、事前にご遺族の意向を確かめておきましょう。

なお、供花・供物を贈ることになった場合は個人で手配するのではなく、その方の葬儀を執り行う葬儀会社に依頼するのが良いでしょう。葬儀会社を通して供花・供物を贈ることで、統一感のある美しい式場を作ることができます。

3-2 弔電を出す

供花・供物は香典辞退をされたときの代替案とはなるものの、実際にはなかなか難しい方法であることを解説してきました。

しかし、このような場合も「弔電」ならば問題のないケースが多いといえます。

古く長い歴史を持つ弔電は、供花・供物とは異なり、原則として弔電はお返しなしでもマナー違反ということはありません。ただ、受け取った際にはお礼状などを送るとより丁寧です。供花や供物、香典を受け入れていない家族葬であっても、弔電を受け入れる家族葬はよくみられます。

 

もっとも、弔電は「参列していない人」が送るものです。弔電は、本人に代わりおくやみを述べるためのものですから、家族葬に参列している人は当然ながらこれは送りません。

そのため弔電を送る人は、「家族葬があることは知っているけれど、参列できない人」に限られます。

たとえば上で述べたような「家族葬に参列してほしいと声を掛けられていたが、健康上の理由で参列できない」などのような人です。また、「会社の部下から、忌引き休暇の申請があったために葬儀があることを知った。会社から香典を出そうとしたが断られた」などのようなケースでも、弔電を打つことがあります。

 

家族葬でも一般葬でも、「香典や供花を辞退する場合」は先に言われているケースが多いです。たとえば、「故人の遺志により、御香典・御供花・御供えは辞退申し上げます」などのように事前に告げられます。ここに「弔電」が入っていないのであれば、弔電は送っても差し支えありません。

なお弔電は、通夜が始まる前に送るのがマナーです。難しい場合は、翌日の葬儀・告別式に間に合うように送ってください(多くの場合、19時までに送れば当日中に届きます)。

4 まとめ

ここまで、「家族葬における香典」について解説してきました。

家族葬では香典辞退の意向が示されることも多いのですが、特に言われていなければ用意した方が無難です。香典の金額は年齢や関係性によって異なりますが、親族や親しい人しか招かれない家族葬では香典の相場は高くなる傾向にあります。

 

香典は受付があればそこで渡します。受付がなければ、親族控室に伺って渡します。その場合、香典を渡すタイミングは様々で、葬儀が始まる前に渡すこともあれば葬儀が終わった後に渡すこともあります。

不祝儀袋の書き方は、宗教・宗派によって異なります。ただし、黒白の結び切りの水引で、表書きを「御霊前」とすれば、どんな宗教・どんな宗派でもマナー違反になりません。

 

香典を辞退された場合は、無理に渡してはいけません。香典に代わるものとして供花・供物がありますが、これを贈ってよいかどうかは必ず確認してください。

なお弔電は、香典・供花・供物辞退としている場合でも、送ることができるものです。

香典は、相手を思いやり、お互いに助け合おうという気持ちから出ているものです。そのような優しい気持ちから出ているものだからこそ、マナーを守って扱いましょう。

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